セミナーを開催すると、参加者は集まる。リードの数も取れる。けれど、なかなか商談につながらない。BtoBマーケティングの現場で、よく聞く悩みのひとつです。
「数は取れるが、質はどうか」。この問いに答えるため、今回ピーティックスでは、自社のマーケティング活動で接点を持った1,643人のリードについて、セミナー参加・ホワイトペーパーの閲覧・動画コンテンツ視聴といった接点の履歴と、その後の商談化を、突き合わせて分析しました。
結果として見えてきたのは、接点の「回数」よりも「種類」のほうが商談化に効いているという傾向です。接点の種類が2つ以上あるリードは、1種類だけのリードと比べ、商談化率が4.1倍でした。
なぜ「セミナー1本」では商談につながらないのか
セミナーが単発の施策として評価されるとき、指標は「1件あたりの獲得単価」になります。どれだけ低いコストで、多くのリードを獲得できたかが問われます。
しかし、セミナーの参加者は、必ずしも主催企業のサービスを検討している顕在層ではありません。サービスそのものではなく、セミナーのテーマに関心があって参加した人も多く含まれます。そのため、単発の獲得単価だけで評価すると、セミナーは「数は取れるが商談にならない施策」として扱われることになります。
これは、セミナーというフォーマットそのものの限界ではなく、接点が1回で終わっていることも関係しているのではないか。そう考え、検証してみました。
自社のリード1,643人を分析
対象としたのは、2025年10月から2026年9月までに、ピーティックスのマーケティング活動を通じて接点を持ったリードです。
次の4種類の接点について履歴を集め、その後、商談化をしたかどうかを確認しています。ユニークな対象者は1,643人です。
- 自社セミナーへの申込
- 共催セミナーへの申込
- ホワイトペーパーの閲覧
- 動画コンテンツの視聴
分析の結果、接点が2種類以上あるリードは、1種類のみのリードと比べて、商談化率が4.1倍となりました。
| 接点の種類数 | 対象人数 | 商談化率 (1種類を1.0とした相対値) |
|---|---|---|
| 1種類のみ | 1,551人 | 1.0 |
| 2種類以上 | 92人 | 4.1 |
※Fisherの正確検定で p<0.001。偶然では説明しにくい差です。
セミナーだけに来た人、資料だけを閲覧した人と比べて、複数の種類の接点を持った人は4倍以上、商談につながりやすい。この差は予想以上に大きなものでした。
有効なのは「回数」より「種類の多様さ」
興味深いのは、接点の「回数」でも同じ方向の傾向は出るものの、差が小さかったことです。
| 接点の回数 | 対象人数 | 商談化率 (1回を1.0とした相対値) |
|---|---|---|
| 1回 | 1,268人 | 1.0 |
| 2回 | 295人 | 1.2 |
| 3回以上 | 80人 | 2.7 |
回数を重ねても効果はありますが(3回以上で2.7倍、p<0.05)、種類を増やしたときの4.1倍には届きません。
これは施策のリソース管理に関わるポイントになります。高頻度でセミナーを開催し、リピート参加を獲得することは大きなリソースが必要です。しかし「種類を増やす」のであれば、手元にある情報やコンテンツを活用し、セミナーという手段だけに頼らず、リソースの負荷を抑えることができます。過去のセミナー録画、営業資料、調査レポート、手元にあるコンテンツを別の形で届けるだけで、接点の種類は増やせます。
セミナーを含まない接点でも商談化につながる
もうひとつ、示唆的な結果がありました。接点の組み合わせ別に見ると、セミナーを一度も含まない組み合わせでも、高い商談化率が観測されました。
| 組み合わせ | 対象人数 | 商談化率 (1種類を1.0とした相対値) |
|---|---|---|
| 共催セミナー + 自社セミナー | 10人 | 11.4 |
| 動画コンテンツ + ホワイトペーパー | 7人 | 10.8 |
| 共催セミナー + ホワイトペーパー | 9人 | 4.2 |
| 自社セミナー + ホワイトペーパー | 53人 | 2.8 |
※対象人数が少ないため参考値としてご覧ください
動画コンテンツとホワイトペーパーだけの組み合わせ(相対値10.8)が、セミナーを含む組み合わせ(同11.4)と遜色ない結果を示しています。
つまり、セミナーは接点の一種にすぎないということです。重要なのはセミナーを開催することではなく、一人のリードに対して異なる形の接点を重ねること。そう考えると、施策の設計はずいぶん自由になります。
接点を重ねて成果を出した3社の事例は、別途資料にまとめています。
調査結果の数字をどう読むべきか
今回の調査について、いくつか注意しておきたい点をお伝えしておきます。
相関であって、因果ではありません。 「接点を増やしたから商談になった」のか、「もともと関心が高い人が複数の接点を持った」のかは、このデータでは区別できません。
効果はおそらく過小評価されています。 今回、ホワイトペーパーの閲覧のうち、一部の閲覧者は特定できませんでした。複数の接点を持っているのに関わらず「1種類」に分類された人が一定数いると考えられます。そのため、4.1倍という数字は下限と考えられます。
業種や商材によって傾向は変わり得ます。 今回の調査では、主にセミナー集客というテーマに関心を持つ層を見てきました。今回見られた傾向が、すべてのBtoB企業に当てはまるとは限りません。
実務で試せる3つのこと
以上のリサーチ結果を踏まえて、明日から実務で試せる3つのことをご紹介します。
1. セミナーの本数ではなく、接点の種類を数える 「今期は何本セミナーを開催したか」ではなく、「一人のリードに何種類の接点を持つことができたか」を見る。指標を変えるだけで、打ち手の優先順位が変わります。
2. すでにあるコンテンツを、別の形で届ける 新しくコンテンツを作る必要はありません。過去のセミナー録画、既存の資料、社内の調査データ。手元にあるものを違う形で届けるだけで、接点の種類を増やすことができます。
3. 同じ人に、違う種類で当てる 同じ資料を繰り返し送るより、種類の違うコンテンツを届けるほうが効果が見込めます。リードを増やすのと並行し、すでに接点のある人との関係を深める仕組みづくりにも取り組みましょう。
まとめ
セミナーで集めたリードが商談にならないのは、必ずしもセミナーという施策に問題があるからではありません。接点が単発で終わっていることも、一つの要因かもしれません。
一人のリードに対して、セミナー、資料、動画など、異なる形で接点を重ねていく。そうして「この領域ならこの会社」と想起される状態をつくることが、結果として商談につながっていく。今回の分析結果は、その考え方を数字の面から裏付けるものでした。
接点を重ねて成果を出した3社の事例を、資料にまとめています
『“検討の前”に選ばれる。ナーチャリングを動かす、コンテンツ接点のつくり方』
ピーティックスでは、セミナー集客に加えて、フォロワーへのコンテンツ配信による接点づくりをご支援しています。
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