なぜSpeedaはセミナーを続けるのか——市場をつくるコンテンツ設計とセールス連携

ピーティックスでは、セミナーをはじめとするコンテンツを活用した法人向けのリード獲得支援(ピーティックス集客サービス)を提供しています。本シリーズでは、実際に運用されている企業のみなさまに、その裏側をうかがいます。

経済情報プラットフォーム「Speeda」を展開する株式会社ユーザベース。同社は6年半にわたり、ライブ配信を軸にしたオンラインセミナーを届け続けています。

今回うかがった主なポイントは、以下の3つです。

  • Speedaをまだ必要だと感じていない人の潜在課題を、ライブ配信を通じて顕在化させるセミナー設計
  • マーケティングとセールスの連携
  • 商談へつなげるチーム体制と役割分担

今回は、株式会社ユーザベース マーケティング本部 Webマーケティングチーム マネージャーで集客をご担当されている山本美帆さんと、同本部 イベントチーム マネージャーで企画をご担当されている森田優子さんのお二人に、その運用の裏側についてうかがいました。

目次

セミナー企画チームと集客チーム。二人三脚での運営体制

※以下、敬称略

──お二人の現在のご担当業務・役割を教えてください。

森田:社内には複数のマーケティングチャンネルごとに分かれたチームがあり、私はセミナーやイベントの企画・運営を行うチームに所属しています。プレイングマネージャーとして、マネジメントをしながら自分自身でも企画から運営まで担当しています。

山本:私はウェブ広告を担当するチームに所属していて、セミナーやイベントの集客を担っています。マネージャーとして、実作業はメンバーに任せている部分もありますが、数字の管理や分析を担当しています。

なぜ「ライブ配信」にこだわるのか

森田優子さん
マーケティング本部 イベントチーム
マネージャー 森田 優子さん

──ライブ配信を重視する理由を教えてください。

森田:コロナ禍でオンラインセミナーを始めてから、かれこれ6年半ほど届け続けています。Speedaはなくても業務ができますが、Speedaがあることで本来注力すべき業務に集中できる。その価値を感じていただき、「使いたい」と思っていただく。つまり、市場そのものをつくっていくことが私たちのミッションだと考えています。

今のやり方でも仕事はできる。でも、このままでいいのかと気づき、思考や行動を変えるには、ある種の「健全な危機感」が必要です。自分がありたい姿を実現するためにSpeedaが必要だ、という前向きな危機感を持っていただくために、刺激と共感のバランスを大切にしています。そのため、セミナーはライブで配信し、その場の熱量をいかに高められるかを常に考えています。

ライブ配信の中で一番大事にしているのは、チャットでのコメントです。参加者の方には、出演者の話を聞きながら、質問や感想を気軽に投稿していただいています。自分の中にあったモヤモヤが言葉になり、他の参加者の反応を見て「自分だけではない」と気づく。そこで初めて、自分の課題として捉え直せる。そうした気づきが、前向きに行動を変えるための「健全な危機感」につながっていくと考えています。チャットでコメントしやすくなるような工夫も含めて、トータルで設計しています。

──このサイクルを安定して回すための工夫はありますか。

森田:毎回セミナーの冒頭でアイスブレイクとして投稿してもらうようにしています。常連のように参加してくださる方々もいて、その方たちが最初に投稿してくださることで、初めての方も参加しやすい空気が生まれることがよくあります。

こうした参加者同士の空気感や関係性は、6年半にわたってSpeedaのセミナーを続けてきた中で、少しずつ育ってきたものだと感じています。「ここではいったん業務の手を止めて、自分自身の仕事や課題との向き合い方を考える」。そんな時間を共有する、ある種のコミュニティになっているのだと思います。

「一歩先を行く実践者」に聞く。3つの目的で分けるセミナー設計

──テーマは、どのように企画されていますか。

森田:経営企画、M&A、新規事業、法人営業など、対象となる方の業務領域ごとにテーマを捉えています。そのうえで、今どんな課題やモヤモヤを抱えているのかを言語化し、その課題に対して半歩先、一歩先を進んでいる実践者の方にご出演いただく、という考え方でセミナーを企画しています。

大きくは、マーケティング上の目的に応じて3つに分けています。

  • 認知拡大型:テーマそのものへの関心を入り口に、まだSpeedaとの接点がない新しい方に参加いただく
  • ユースケース訴求型:具体的な業務課題や実践事例を通じて、Speedaが役立つ場面を想起してもらい、商談につなげる
  • プロダクト訴求型:Speedaの機能や価値を具体的に紹介し、導入検討につなげる

中でも多いのは、2つ目のユースケース訴求型です。

マーケティングストーリー=カスタマーストーリー。セールス連携の設計思想

──マーケティング側がテーマ・ターゲット・セールストークまで設計してセールスに引き渡す体制は、どのような課題への対応策として築いてきたのでしょうか。

森田:マーケティング組織で大事にしているのは、「顧客起点であること」です。私たちはこれを「User Driven Marketing」と呼んでいます。マーケティングストーリーは、カスタマーストーリーとイコールでなければいけない。マーケティングで伝わったストーリーが、顧客になっても、実際のユーザーになっても変わらないことが大事で、これはセールスストーリーとも一貫している必要があります。マーケティングとセールスで役割が分かれていても、同じストーリーを紡いでいく関係性だという前提を持っています。

マーケティングとして市場をつくるうえで大事にしているのは、市場に「問い」を立てることです。顧客自身もまだ明確に言語化できていないモヤモヤを問いとして昇華させ、半歩先・一歩先を進む実践者と議論する。「まさに自分たちも同じことで悩んでいた」とモヤモヤが言葉になり、課題として顕在化していきます。これが私たちの考える「共感」です。

一方で、その実践者がどんな壁にぶつかり、何を考え、どう乗り越えてきたのかを知ることで、「では自分たちは明日から何を変えられるだろう」と次のアクションを考えられるようになる。これが「刺激」です。セミナーでは、この共感と刺激の両方を届けることを大切にしています。

これを一社一社、セールスが個別に行うには時間がかかります。だからこそ、マーケティングが市場に問いを投げかけ、セールスはその問いを個社・組織の課題へと掘り下げ、Speedaがどう役立てるのかを具体化していきます。

大切なのは、セミナーで投げかけた問いと、その後のセールスとの会話を途切れさせないことです。そのため、企画チームでセールストークのたたき台をつくり、インサイドセールスと一緒にブラッシュアップしています。さらに前日には、誰に向けてどんな問いを届けるセミナーなのかを改めて共有し、当日の配信後には、参加者の反応や実際にどんな議論があったのかをブリーフィングしています。ライブで生まれた熱量を、そのままインサイドセールスにも引き継いでもらうイメージです。マーケティングからセールスへ単にリードを渡すのではなく、同じ問いを引き継ぎながら、お客様の課題を具体化していくイメージです。

──セミナー参加者の商談化までは、どのように設計されていますか。

山本:企画チームとやりとりしながら訴求内容に沿ったターゲットを集客チームで集客し、企画チームがトークスクリプト等を連携し、インサイドセールスが、申込者リストを事前に目視し自分たちのターゲットとなり得る方に対してアプローチし、日程調整をして商談する、という流れです。マーケティングからセールスへきちんと商談につなげてもらえるようなステージセットはもちろん、情報交換しやすい関係性を普段からそれぞれが意識しています。

ウェビナー成功の裏側にある、地道な工夫と日々の積み重ね

──企画チームと集客チームで連携する上での秘訣はありますか。

森田:企画チームと集客チームでは、同じセミナーを見ていても、振り返る観点が異なります。企画側は、当初立てた企画仮説に対して、実際にどれだけ集客できたか、商談につながったかを見ながら、テーマやターゲット設定が適切だったかを振り返ります。

一方で集客チームは、どのような層が、どの集客チャネルから参加したのかを分析します。それぞれ異なる視点から振り返ることで、「このテーマは誰に届いたのか」「どこに改善余地があるのか」を立体的に捉え、次の企画や集客設計に活かしています。

ターゲット層に届く、ピーティックスの「ぶれのない」アプローチ

山本美帆さん
マーケティング本部 Webマーケティングチーム
マネージャー 山本 美帆さん

──ピーティックス経由では、どのような方がセミナーに参加されていますか。ご利用いただく中で意外だったことはありますか。

山本:今のチームになる前から実務で集客担当をしていて、さまざまなテーマやターゲットのセミナーを担当してきました。他媒体と並べても、ピーティックスは企業群だけでなく、お役職、お役回りなど、多様な顧客層の方がいるイメージがあります。私たちのセミナーは、テーマごとに対象とする顧客層が異なりますが、セミナーごとに求める企業様やお役職の方へ届き、お申し込みいただける。その「幅の広さ」をとても感じています。

意外だったのは、人事領域の顧客層もいることです。事業開発や新規事業、経営企画領域は届きやすい印象がある一方で、人事向けの専門媒体もある中で、ピーティックスでも人事領域の方からもお申し込みがありました。特定の業界や職種に限らず、さまざまなターゲット層の方にお申し込みいただける媒体だと感じています。

集客のプロであるピーティックスという相談相手がいること

──今後ピーティックスに期待することがあれば教えてください。

山本・森田:今もかなり密にコミュニケーションを取らせていただいていて、当社の方針が急に変わることや、セミナーの内容を変えることもある中で、相談相手がいることをとてもありがたく思っています。集客のプロだと思っているので、今後もいろいろな情報を含めて相談させていただきたいです。私たちの中でも新しいチャレンジがあると思うので、方向性が合うようであれば、ぜひ一緒に取り組ませていただきたいと思っています。

これからセミナー施策に力を入れる企業へ

──最後に、アドバイスをお願いします。

森田:日本企業の第一線で活躍されている方々に向けて、私たちのつくるコンテンツを届けていくことに、私は常に責任を感じています。多忙な業務時間の中で、1時間だとしても私たちのコンテンツを見ている。その期待に応えられているだろうか、と常に考えています。コンテンツが届いた先の人たちの思考や行動にどんな影響を与えられているか。そこに向き合い続けることが大事なのではないかと思います。

──6年半という長期間、継続されてきた秘訣はありますか。

森田:2つあります。

1つ目は、6年半セミナーを続けてこられたこと自体に価値があり、その意義が会社や組織の中で共有されていることです。弊社のCMOをはじめ、セミナー施策の価値を信じて支えてくれる人が社内に多いことには、本当に感謝しています。

2つ目は、そこに甘んじないことです。私たちがつくるコンテンツを、誰に向けて発信しているのかを考えたとき、第一線で活躍されている方々に向けて発信しているんだと思うと、中途半端なものは届けられません。誰に向けて、何を届けるのか。その緊張感に、毎回立ち返ることが大事だと思っています。


ライブ配信という手法そのものよりも、「誰に、どんな問いを届けるか」への向き合い方。そしてマーケティングとセールスが同じストーリーを紡ぐという発想。ユーザベースの取り組みは、コンテンツを起点にした関係構築の1つの完成形といえるかもしれません。

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この記事を書いた人

イベント・コミュニティ主催者のためのピーティックス活用支援サイト「Peatix U」。ピーティックスの使い方やイベント・コミュニティのノウハウ、活用事例などをまとめています。

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